2019-05

よもやま話

デモクラティック大名(8)

もし川中島で、織田信長がこのような状況に陥ったのならば、家臣の秀吉や明智光秀に殿(しんがり)をまかせてとっとと逃げていたでしょう。でも信玄は今まで軍議という名のおしゃべり会で、大将の心得として「本陣が動くのは負けた時だけだぞ」「動かざること山の如しだ、ガッハッハッ」と兄貴面をして家臣相手にふかしまくっていましたから、逃げたくても逃げれなかったのです。  でも信玄が逃げないから、武田の家臣はもちろん、足軽のひとりとして逃げ出しませんでした。武田軍は崩壊寸前のところで持ちこたえていたのです。そしてついに武田の先鋒隊が戦場に到着したのですしたのです。こうなると形勢は逆転、上杉軍は挟み撃ちにされる形に...
よもやま話

デモクラティック大名(7)

謙信の車懸りの陣に対して、武田信玄は鶴が翼を広げるように陣を広げ、相手を包み込もうとしました。鶴翼の陣です。でも武田軍は上杉軍に対して人数が少ないのです。武田勢の半分は上杉本陣があった山上にいたからです。そこがもぬけの空と気づき、反転して、先鋒隊は武田本陣めざして引き返しているところですが、山中には上杉軍の伏兵がおり、簡単に戻ってくることはできません。  こうなると謙信が信玄の首をとるか、その前に武田の先鋒隊が本陣に戻ってくるか、どちらが先かという勝負になります。謙信が攻めて、武田軍が守るのです、でも武田軍にだって勇猛果敢な武将はいます、本陣から打って出て謙信の首を狙い突撃する武将たちもたくさ...
よもやま話

デモクラティック大名(6)

旗本というとお殿様のそばにお仕えする侍のイメージがありますが、それは江戸時代のもので、戦国時代の旗本とは、各部隊から選抜された最強部隊のことです。全員が宮本武蔵だと思ってもらいたい。それが本陣にいて大将を守っているのです。川中島の合戦でいきなり本陣と本陣、旗本旗本がぶつかり合うことになったのは、アル中大名の謙信が寄った勢いで、みずから先陣を切って信玄のいる本陣に襲いかかったからです。  上杉勢は車掛かりという戦法をつかったと言われます。蚊取り線香のように渦巻状になり、ぐるぐるまわりながら攻めたという。そんなサーカスみたいなことを本当にやったとは思えないのですか、とにかく上杉軍はぐるぐるまわりな...
よもやま話

デモクラティック大名(5)

謙信は思いました。武田軍はなにかをたくらんでいるぞ、ならばその相手の作戦の裏をかいてこっちから攻めてやろうと思い、上杉軍は真夜中に全員下山します。どこに? 武田軍本陣の眼の前にです。  川中島の名物は霧です。朝になると数メートル先も見えないほどの霧が発生します。武田軍もこの霧を利用して夜中に出陣して、朝方霧が晴れるころに山上の上杉本陣に攻めかかる予定でした。いざ朝になり、武田先鋒隊が上杉本陣に攻めかかります、が、そこはもぬけの殻、兵士のかわりに藁人形が置いてあるだけでした。武田先鋒隊は作戦が見抜かれていたと気づきます。  そのころ川中島の平地も霧が晴れてきます。武田信玄の目の前に、山上で先鋒隊...
よもやま話

デモクラティック大名(4)

何がキツツキ戦法だ、遊びじゃないんだぞ、武田家が存続するか滅びるかの大事な一戦なんだ、お前らなんかの意見なんか聞いてられるか、大事なことは「俺がひとりで決める」、信玄はそう言いたかったのですが、いえませんでした。常日頃、大事なことはみんなで話し合って決めると兄貴面をして合議制を主張していた張本人だったからです。信玄が武田家の頭領なのも話し合いの結果? ということになっていました。  信玄ほどの軍略家からすれば、家臣が一押しするキツツキ戦法なんていうのは子ども騙しで、そんなのは通用しないと分かっていたはずです。孫子の兵法にも、こんな戦法は載っていない。しかし大事なことはみんなで話しあって決める、...
よもやま話

デモクラティック大名(3)

みなさんご存知の川中島の戦い(知らない人はこのあと書いてあることすべて理解できません)。武田信玄と上杉謙信は川中島で5回も戦っていますが、いわゆる世間で知られる川中島の合戦とは第四次川中島の合戦のこてで、それ以外はというと両軍にらみあいながら対峙していただけなのです。  謙信は酒を飲みながらじっと一人で考え込み、信玄は家臣らとおしゃべり軍議をして、川中島でいまでいうキャンプを楽しんでいたのです。彼らが現代人であったのなら、そこでバーベキューをするなり、もしくは麻雀卓かトランプでも用意して遊んでいればそれですんだかもしれない、ただ戦国時代ですから、戦をすることになります。  第四次川中島の戦いの...
よもやま話

デモクラティック大名(2)

武田信玄がなぜデモクラティック大名のふりにこだわったのかは分かりません、そのほうが家臣団を統率しやすいという計算があったのかもしれない、ただそのインチキ民主主義をこころよく思わない武将がいたのです。越後の虎、上杉謙信でございます。大事なことも、大事でないことも、誰とも話し合わず全部一人で決めて、勝ちまくる、もうひとりの戦国最強の大名です、毘沙門天を崇拝しているうちに、自分自身が毘沙門天だと思い込むようになってしまった狂人ではありましたが、戦となれば必ず勝つという戦争の天才でした。  信玄が軍議というなのおしゃべり会を家臣としている一方、謙信は何をしていたかというと、一人で酒を飲んでいたのです。...
よもやま話

デモクラティック大名(1)

残りの人生を狂人として生きていこうと決心しました。今までも狂人ではあったと思うのですが、少しでもまともな人間であろうと自分を抑えている部分がありました。それをやめる。妄想、妄言を他人の目を気にすることなく、自由に語りたい、もう狂人でいいんだ、思いつくままに書いていこう話していこうと決めたのです。なぜそんなふうに思うようになったかは、またいずれの機会に語ることにして、今回からしばらくずっと妄言を語ります。それでは、 デモクラティック大名 武田信玄  戦国時代は殿様をトップとした封建社会です。殿様の一言ですべては決まるのです。決まるのだけれども、それを良しとしない家臣がいれば、それを良しとしてない...
ひきこもり

偽ひきこもり

ひきこもり当事者として、人前で何かを話をする(表現をする)、という行為をもってその人を〝偽ひきこもり〟とするのは、働かないアリは、アリじゃないと言っているようなもので無理があります。  アリが働くのはアリの習性ですが、しかしアリなかにも、その習性どおりに働かないものもいるのです。ひきこもりだって同じです、いつも習性通りに動くというわけではない。  ひきこもりの習性とは、ひきこもり当事者だと言われたら、逃げる、消える、というもの。それがひきこもりの習性であることは否定しない。そもそも昼間でも部屋のカーテンをぴちりとしめて、ひきこもり当事者であると悟られぬよう苦心するのが王道ひきこもりであります。...
よもやま話

失くし物を見つける方法

失くし物大臣です(忘れ物大臣でもあります)。狭い6畳間の中で日々絶えず何かを失くしています。携帯電話もしょっちゅう隠れてしまうので、固定電話から自分の携帯に電話しています。毎回いろんなところから呼び出し音が鳴ります、今日はまったく置いた覚えのない本棚から、携帯が鳴りました。  そんな私が実践している、失くした物を見つける方法というのは、「見つかるまで探す」ということです。決して諦めない、新しいものを買おうなんて考えは捨てる。ずっと出てくるまで探し続けるのです。真理として、部屋の中で失くしたものは、必ず部屋にあるのです。消えてしまったリモコンや、USBメモリー、鉛筆、爪切り、ハサミなど、死に物狂...
よもやま話

自由席を英語で?

和歌山から電車で帰ってくるときのことです、特急の指定席に座ろうとすると、我々のその席に外国人の女性が座っておりました。  そこは俺たちの席だぞと"英語"で自己主張しなければならないところですが、無学ゆえ、その英語が話せない。でも指定席車両なので、心の弱い我々にはそこ以外の席に座る度胸がない。  自分たちの切符を見せて相手に悟ってもらうしかない。どす黒いスマイルとともに、こちらの切符を相手に見せました。すると相手も自分の持っている切符を見せてくれる。外国の人の持っている切符は、日本人には馴染みのない、自由席ならどこにでもいけるよというような電車回遊券なのです。  自由席車両と指定席車両の違いがわ...
よもやま話

芥川龍之介が小説家になりたいなら数学の勉強をしろと言っていたという噂の真相

雑学・豆知識です。結論を言えば、そうは言っていない。しかし読解力のない人が芥川の評論、『文芸家たらんとする諸君に与ふ』を読めばそのように勘違いするのも、分からなくはない。  その小文を要約してみました。オリジナルを読めばすむことで、こんな野暮なことはしたくないが、難しいから読めないという弱者のために、勝山式妄想現代語訳をしてみました。どうよ。 ********** 妄想現代語訳『文芸家たらんとする諸君に与ふ』 by 芥川龍之介 ①中学生諸君よ、文芸家であろうとするならば、数学を学ぶことに一生懸命に励むべきだ。そうしないと頭の弱い人間になっちゃうぞ。 ②中学生諸君よ、文芸家であろうとするならば、...
ひきこもり

ひきこもり勉強必勝法

勉強なんてしなくてもたいして困らなくなる、無学で勝ち組知識人になる勉強法を教えよう。  ①わかる人に聞く。  ②みんなで考える。  ③インターネットで検索する。  信じられんが、この3つを組み合わせれば、たいていのことが分かる。ほとんど困ることはないんじゃないのか。学校のテストが異常だったのです。誰にも聞かず、お互いに隠しあい(友情のかけらもないな!)、ネットで調べないどころか計算機ひとつ使わせない。  こんな場所が社会にあるだろうか! いやある! 刑務所と精神病院だ! それはさておき、学校のテストで点をとるというやつは、学びとか教育とはなんの関係もない、ひとつの芸なのでしかない。
よもやま話

ネット・デトックス

1週間ネット断ちをした。和歌山にいくにあたり、パソコンを持っていかなかったのです。ネットデトックス。正確な言い方はデジタル・デトックスというらしいですが、携帯(ガラホ)は断ってなかったのでネット・デトックスとします。  パソコンににさわらないだけで、すこやかな毎日が手に入る。パソコンから飛び出る"毒電波"こと、ブルーライトをあびないと、夜にすごく眠くなる。夜9時になると眠くてしょうがない。ほとんど小学生みたいな状態です。  禁断症状なんてない。インターネットにつながっていなくても余裕なのです。通信手段としてメールが普及しているので、ガラホ携帯にメールを転送する設定にはしておきましたが、たいして...
和歌山・小屋・田舎暮らし

和歌山コラーおじさん

1週間ほど和歌山に行ってきました。マイホーム小屋のまわりの雑草を草刈機でかって、ちょっぴり見晴らしのいいひきこもりスラムにしてきましたよ。  そんな、ひきこもりスラムがあるのはR80の限界集落です。あまり人はいないのですが、まったくいないわけではない。そんななか、滞在中に唯一遭遇したご近所さんが、"コラーおじさん"です。スラムの上の、竹やぶの向こうの道路から何度となく、「コラーーーーー!」と叫ぶおじさんがいるのです。  誰かとケンカをしているのかと思いましたが、そうでもないようです。ただよせてはかえす波のように、高台からおじさんが、「コラーーーー!」と絶叫している。あれは何だろう? 俺たちが怒...