書評『21世紀への階段』(3)

 60年前に発売された科学技術省監修の未来予想本『21世紀への階段』、第三章の見出しは長命の退屈。21世紀は長生きの世紀と予想している。この第三章まるごと予想大当たりなのです。長寿、高齢化社会、成人病は増える、精神病も増える、臓器移植も出来るようになる、アレルギー病が目立つ、漢方が再評価されると、もう医学は正しく進歩したとしかいいようがない。予想した専門家も、それを実現した21世紀人も立派だ。

 人工心臓などの人工臓器が出来るとも書いてある。当たっているんじゃないの。ただその人工の臓器のイメージがちょっと違う。右下は21世紀の人々が人工心臓や人工胃をポケットに入れている、という絵。うーん、ミキサーを胸のポケットにねじ込んでいるようにしか見えんですよ。

 続けて第四章、タイトルは台風と地震の制御。ようは科学の力で台風や地震の災害を防ぐことが出来るかというテーマなのだが、ここには大胆な未来予想は無く、50年たっても完全な制御は難しいだろうという嘆きがあるだけ。

 21世紀の現在、温暖化のせいで台風は制御どころか巨大化し災害の規模は大きくなっている。地震の予測も出来そうで出来ていない。自然災害を防ぐという分野に関しては、20世紀の予想よりも悪くなっている、科学は退化したのか。そもそも科学力で自然をなんとかしようという発想が無理だったのかもしれない。

 本はまだまだ続きますが、紹介はこれで終わりにします、復刻本も出て簡単に手に入るようになりました。興味ある人は読んでみてください。(終)

※2020/06/24 一部修正。この文章は3.11の福島の原発事故が起こる前、2007年に書いたものです。

関連リンク
書評『21世紀への階段』(1)
書評『21世紀への階段』(2)
書評『21世紀への階段』(3)