書評『21世紀への階段』(1)

 ひきこもりはいつだって未来のことばかり考えさせられている。将来どうするんだ、親が死んだらどうするんだ、ホームレスになるぞと心無い人間に脅され、未来のことばかり考えている。でも未来というものは科学者や政治家という人たちこそが考えることなのではないだろうか。責任逃れし、負の遺産を子どもに押し付けてばかりではいかんのです。

 21世紀への階段という本がある。1960年、今から60年前に科学技術庁が監修発売した本格的未来予想本です。SFではない、科学者、技術者、政治家が40年後の21世紀の日本はこうなってしかるべきということを書いたものです。そこには21世紀の理想の姿、正しい科学の進歩、豊かな社会、人間の幸福への思いがつまっていて楽しい。21世紀未来人の私は、彼らが期待しているような世界に住んでいるのだろうか。

 本に書いてある1960年の科学者が想像する理想の世界とは。原子力時代は花ざかり。これが第一章のタイトルだ。悪い意味で当たっている。地震で原発のやばいドラム缶とか倒れまくったり。放射能とかちょくちょく漏れている。科学技術庁が発売している本なので原子力は大プッシュされている。電気の変わりに放射能で光るランプが21世紀には開発されているとある。油にガス、電気ときて、21世紀のランプは放射能で光るというわけだ。世界中がヒロシマ、ナガサキじゃよ。

 被爆国とは思えないくらいの原子力(放射能)に対する期待であふれている。オイルショックのせいもあるかもしれない。あなたも原子力を動力としたロケットで宇宙を旅しているかも、みたいな文章でこの本の第一章は締められている。面白い本なのでまた続きを紹介します。〈続く〉

※2020/06/06 一部修正。この文章は3.11の福島の原発事故が起こる前、2007年に書いたものです。

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