書評『三人姉妹』
「モスクワへ、モスクワへ」と三人姉妹がただ言い続ける作品(戯曲)。読んでない人はまさかそんなはずはないと思うかもしれないが、読んだことのある人なら、当たらずといえども遠からずと思っていただけるのではないか。 井伏鱒二や太宰治も大好きだったロシアの文豪チェーホフの四大戯曲のひとつです。アイドルも舞台で演じています。そういうきっかけがなければ、誰も読まない作品だと思う。三人姉妹より、『桜の園』のほうが有名だけど、あえて三人姉妹を取り上げます。 両作ともつまんないけど、桜の園がつまらないのには理由がある。主人公の貴族たちが没落していく一番の理由が、農奴制度(奴隷制度)の廃止だからです。主人公たち...