いわゆる「ひきこもり調査」について【マニア向け】

「ひきこもり」推計146万人 主な理由“コロナ流行”内閣府調査 | NHK
【NHK】外出をほとんどしない状態が長期間続くいわゆる「ひきこもり」の人は、15歳から64歳までの年齢層の2%余りにあたる推計14…

 ひきこもり調査とは「こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)」のことです。

https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/ishiki/r04/pdf-index.html

 ↑ここで全文読めるけど、全文読むマニアは日本に4人くらいしかいないでしょうし、さらにそのマニアの感想を読むマニアは、1人もいない、つまりはこんなブログは書いてもしょうがないが、せっかくだからざっと読んで思ったことを書く。

 内閣府がひねり出した珍問奇問がずらりとならんだ子ども若者調査(今回が特別なのではなく、毎回同じ変な質問をしている)は、ひきこもり調査ではない。10歳~69歳(!)までの、子ども・若者に対する調査。ただ、その一部がひきこもり状態に関するものとなっている。

 10歳~69歳、もうこの時点で、子どもでも若者でもない爺さん婆さんがまぎれこんどるじゃないかと違和感を覚えるでしょうが、その違和感は正しい。私も読めば読むほど、内閣府が何がしたいのか、分からなくなる。

 目的は「こども・若者育成支援の改善・充実に資する基礎資料を得ることを目的とする」こととなっている。さあどうでしょう、いかがなものでしょうか。以下、空想メモです。

❶女性と妊娠

いわゆるひきもり状態になった理由(15歳~39歳部門)

1位 コロナ 29.6 %
2位 その他 17.4
3位 退職 16.2
4位 妊娠 15.2
5位 特になし 14.8

 どうだこのラインナップ。ちなみに複数回答できるので、理由の合計は100%をらくらく超える、言ったもん勝ちですな。

 今の日本にコロナの影響を受けなかった人がいるだろうか。ひきこもりに限らず、原因を聞かれれば、そのうちのひとつはコロナになるだろう。

 コロナ禍と妊娠があわさることで、苦労も多いというのは想像に難くない。感染しないように普通の人以上に気をつかうし、ワクチンを打ちまくるというわけにもいかない。

 妊婦はコロナウイルスから逃げ回るしかない。となると家の中にいるのが一番安全というのも分かる気がする。

 妊娠のパーセンテージの多さ。女性のみで15.2%ですよ。他の回答と違って、妊娠のみ男性回答0%、女性専用回答なのです。それで4位なのですから、実質1位と言えます。

 過去2回の調査で、ひきこもりになったきっかけランキングになかったコロナと、妊娠(過去調査では少数だった)が上位にはいってきたのが今回の調査の特徴。

 ひきこもりの大きな原因のひとつが妊娠であるのなら、女性のひきこもりの割合が増えるのは当然のこと。人数的にははっきりと女性のほうが多い。妊娠の分、多いんじゃないかと思う。

❷「病気」(11.5%)

 調査を見ると、もっとひきこもりは多いんじゃないかと、図表の数字だけ見ていると思うのですが、その理由は、ひきこもり状態の人から、病気の人(統合失調症又は身体的病気)を除いているから少なくなる。

 それと、妊娠、介護、家事手伝いでひきこもり状態であっても、家族以外の人とよくもしくは時々会話していれば、ひきこもりから除かれる。

 コロナで妊婦が家族以外と会話をする機会が減ったのが、人数が増えた原因じゃないのか。

❸なぜ〝10歳〟から69歳までなのか

 もともとは15歳から39歳までを対象とした調査でした。それだけではいかんと、40歳から69歳までが追加された。

 そして今回、10歳から14歳までも追加された。理由は書いていない。

 私の推測ですが、年数を合わせたんじゃないか。15歳~39歳まで22年間、40~69歳まで30年間でしょ。両方30年間に揃えようと10~39歳までにした。ただの数合わせ。空想ですが、断言しておく。

❹お金

 この調査にはお金の話が出てこない。お金がなくて困っている(貧困)という前提がない。支援の選択肢にも、給付や手当という言葉はない。お金がないとなにもできんと思うのだが。相談しても、1円も出てこないのなら、相談してもしょうがない。

❺夫婦善哉

 この調査には恋人とかパートナーいう概念がない。相談相手、助けてくれる相手は、家族か友人、それ以外だと地域の人、先生、カウンセラー、さらには相談できる場所ときて、インターネット、SNSとなる。

 モテるモテないの話ではなくて、必ず結婚して、夫婦になり、家族になるという前提というか、そういう信念のもとで調査がされているように思う。

❻クオカード500円

 こんな調査にいちいち答える暇な人間がなんでいるのか分からなかったが、このアンケートに答えるとお礼として500円分のクオカードがもらえる。ちゃっちゃっと書いてクオカードをもらおうと考える人がいるのは当然のこと。私もクオカードが欲しい。

❼3つの調査票

 調査票には3パターンある。

 15歳から39歳用。メイン票。

 メイン票を簡単に子ども向きにした、10歳から14歳用。子ども票。

 メインの調査票から質問をごっそりと、問1~13までを削除、問14から始まる40歳から69歳用。シニア票。

 シニア票で削除された質問とはどんなものか。ちょっと抜萃してみましょう。質問は当てはまるか、当てはまらないかを選択して答えるようになっています。シニアにだけ聞かれなかった、内閣府が聞く必要がなしと判断した質問を噛み締めよう。

「今の自分が好きだ」
「自分の親(保護者)から愛されていると思う」
「うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組む」
「自分は役に立たないと強く感じる」

 最後の質問がひどい。聞かれないんだけど……。

❽2つの調査方法

 10歳から39歳まで2万人を対象として標本調査と、40歳から69歳までの1万人を対象とした標本調査の、ふたつで、この調査はできている。

 調査は2つ、質問の調査票は3種類と、年代ごとの単純な比較はできない。

❾その他、特になし

 アンケートでは多数派なのに、報道では無視される「その他」と「特になし」。内閣府が用意した選択肢を選ばないと、相手にされないというひどい扱い。自由なんかない。

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