もし、ひきこもり村というものを作るとしたら、それは和歌山県になるだろう。オルタナティブ、今までとは違う新しい最先端の支援団体があり、しかも何年も運営している。国・行政の支援なんてものは、遥か後方にある。
国が就労支援だと言えば、就労支援をやる。発達障害に予算が出るとなると、にわかに発達障害支援を始める。学校の規制が緩和されれば、学校を作る。といった具合に、国が民間に放り丸投げる支援事業に「飛びつく」のが、NPO団体の活動の大部分になって久しいが、そうじゃないんだと、ひさしぶりに思い出させてくれる関西巡礼ツアーでした。
NPO団体が先陣をきり、新しいことをどんどんやっていく。新しく、すぐれたことを10年くらいやっていると、行政も無視できなくなって、追いかけてくる。べてるの家なんて、その代表でしょう。
面白いなと思う団体は、全国にもある。例えば、札幌の漂流教室、島根のYCスタジオとかさ。でも和歌山県には3つもあったよ。共育学舎、かたつむりの会、共生舎と。
まずは、共育学舎を紹介したい。ここはみんなも一度は行くべきだ。共育学舎とはどんなところか、それは「phaさんが泊まった」ところ。へーっ、て思うでしょ。ギークハウスの主催者で、人気ブロガーである「phaさんが泊まった」ところなら、きっと面白いところに違いない、と思う。私はそう思いましたよ。共育学舎は和歌山の山の中の中にある、廃校になった木造小学校を活用した、居場所兼、宿泊所兼、農家兼、インターネットのパン屋さんです。ホームページによれば35歳以下の若者なら無料で泊まれるとあります。ゼロ円ハウスがここにもあるのです。
和歌山巡礼には、心強いコーディネーターのTさんがいたので、どこに行くにも軽自動車で送迎してもらえました。だから、駅からバスで何分とか、そういう交通情報は一切わからない。車の後部座席で「山の景色がいいねえ、山の形がいいんだよねえ」なんていう、ぬるい四方山話をしているうちに、現地に着くという、ちょっと特殊な交通方法で全ての場所へ行っています。
さて、phaでお馴染みの共育学舎。前もって得た情報は、主催者の三枝(さえぐさ)さんは、もともと3年寝太郎のような暮らしをしていた。年の離れた奥さんがいる。小さい子どもがいる。それくらい。廃校を活用した田舎暮らし、それ自体は珍しくないけれども、来た人を無料で泊めてくれるというのがすごいでしょ。
phaさんのギークハウスだと、月に6万円です。もちろん都心にあり、クーラーとか設備が整っているのだけれど、それでも6万円ですから、ひきこもりには無理です。0円こそ、ひきこもり村への架け橋。実家の自分の部屋以外にも、0円で住める場所を持つことが、生き延びるための第一歩だと考えているところに、それをずっと何年もやっている、共育学舎、どうよ。
※2020年1月修正&追伸。共育学舎に初めて行ってから8年も経ちました。その後、和歌山には何度も行き、小屋まで建てました。この時書いたことと、今とは違っているところも多々ありますので、和歌山のこと、共育学舎のこと、その後のひきこもり村など、改めて書こうと思っていますが、とりあえずこの記事は記念というか目印のために残しておきます。
コメント
弘法大師が四国88箇所霊場を設けました。第一番札所が霊山寺です。最後の札所が大窪寺です。歩いて廻るのに約40日かかります。大窪寺で杖や装束を奉納し、88箇所でもらった朱印と寺の名前や本尊の名前、本尊を表す梵字の種字を持って帰り、高野山に詣でて満願成就となります。生きて高野山にたどり着ければの話ですが。
88箇所の札所の廻りの寺には宿坊があり、ただで泊めてくれます。ただし、ごろ寝です。食べ物は信者が金を出し近くの農家の方が食べ物を持ってきてくれ、宿坊の坊さんが調理し、お遍路さんに供されます。布団などは、遠方のお金持ちの方が名前を入れて寄付します。昔はただで廻ることができました。今の宿坊は金を取るところもあります。
歳をとり、村の人が餞別を渡し、はなむけ(鼻向け)をして、第一番札所までのお金と行き先を教え、死の旅立ちをさせたそうです。88箇所を巡る内に亡くなったとのことです。寺の近くにはその人たちのためのお墓があったそうです。
今でも高野山に登る道には宿坊が沢山あり、金を取るところが多いですが、多分金が無いと言えばただで泊めてくれるはずです。
>>立ち入りは誰でも自由
勝山さんが入れたのは来賓だからだと思ってました。
ところで今回の記事にでたphaさんですが、今週の『女性自身』(12月11日号)でも取り上げられてましたよ。
また、彼に合わせたかのように、瀬戸内寂聴の連載には50歳くらいの引きこもり息子に悩む女性が登場してました。
既読でしたらすみません。
立ち入りは誰でも自由なんですよ。
食事と寝る場所が無料なのが、35歳以下としてあります。
でも、私が泊まれたから、厳密に決まっているというわけではないようです。
お抱え運転手をもったVIP待遇で安心の旅でしたよ。
さんきゅー。
土地勘もなく次の目的地までの所要時間など知りようもない都会の方にとって見知らぬ山奥の田舎道を車で案内されることは地元の人間が想像する以上に不慣れな感じを与えるものなのだなとブログを見てしみじみ感じました。
勝山さん、共育学舎が35歳以上のヒキは立ち入り禁止らしいという箇所にひっかかりを感じました。
良さげなひきこもり村にも年齢の壁があるなんてorz
35歳以上のひきこもり村の開墾も希望します。