自己紹介する時、最初に「自称・ひきこもり名人、勝山実です」と言います。それに対する反応は、たいてい失笑です。ひきこもり・不登校業界から縁遠いイベントであるほど、この一言で、笑いがおこる。ただしひきこもりも全く知らないというほど遠すぎる集まりとなると、あたたかい笑いではなく、嘲笑というか、侮蔑になる。
もっとも嘲笑われたのが、平成26年度藤沢市公益的活動助成事業プレゼンテーションの時です。湘南ユースファクトリーという、NPO法人になろうとしてなれない任意団体があるのですが、そのメンバーの3人うちの1人として、銭っ子が欲しさに、プレゼンテーションをしました。公開助成金オーディションです。
思い出すのも辛い、暗黒のプレゼンテーション。ひきこもり名人ですと名乗った時の、9人の審査員の蔑むような視線と苦笑いを、私は一生忘れない。ひきこもりとは、切ないものだと思いました。
それでも助成金ほしさに、審査員の顔色をうかがい、媚びへつらいながら、審査員の言うことごもっともと、本心は主張せず、プレゼンをやりました。結果は、参加した9団体のうちの9位、最下位で落選。土下座外交をしたあげく、1円のお金も得られない。立っていられないほどのショックを受けました。
このケースとは反対の、ひきこもり業界に近すぎる場合はどうだろう。ひきこもり名人だと言っても、笑わないどころか、ごく当たり前の肩書きとして受け入れられてしまいます。みなさんご存知の「ひきこもり名人」なので、誰もおどろかない。日曜日に、東京シューレでおこなわれたイベント、「みんなで“いつものこと”をやる日~いけふくろう×不登校新聞×月乃光司コラボ企画」など、まさにそうでした。不登校の震源地でイベントをすれば、そうなります。
不登校全国合宿というのが、毎年夏におこなわれているのは、不登校ひきこもり業界では常識の、あるあるですが、業界外の人にとっては、不登校関係者が全国から集まって、合宿までしているということに、ド肝を抜かれます。「いったい合宿って、何をしているのか」と。一般市民には意味不明の合宿です。
ひきこもり業界というのは実際には存在してないし、合宿もありませんが、見えない空気のような感じでは存在はしています。ひきこもり名人、という言葉に対する反応で、業界人としての、ひきこもり濃度を測ることができます。ひきこもり名人? なんだそれ、と思わないようならば、かなりのひきこもり業界人ですぞ。
コメント
作家というほど、書いてないし、
稼いでないので、ちょっと恥ずかしいですのう。
名人は著作が2冊もありますし、雑誌での寄稿やインタビューも多数なのですから、その場に応じて著作家、作家を名乗っておかしくないんじゃないですかね。小説家になるというのもあながち夢物語ではありませんね。