図書館

よもやま話

ひきこもり美術館

本とは読み物であると同時に、見て、並べて、さわって楽しむコレクションでもあります。一台の本棚が、我々の住む六畳間を美術館にしてくれるのです。  なのになぜゴミ屋敷なのか。それは本を畳の上に置きっぱなしにいているからであって、きちんと本棚に並べ、整理さえすれば、本も立派な美術品になり、我々はマイ美術館(六畳間)に本を展示している〝館長〟になるのです。  よい本棚イコールよい展覧会だと思ってもらいたい。なにを並べ、なにを並べないかが重要。うかつに断捨離なんてしてはだめです。ゴッホやルノワールを捨てるのと同じことです。  ミニマリストの書いた本に感化され、図書館で借りられる本は持っていなくてもいいと...
よもやま話

いまさら『砂の器』を読んでみた

太宰治と同い年、松本清張先生の代表作と言えば『砂の器』ですよね(あと『点と線』)。みんな名前くらいは聞いたことあるでしょう。映画にもなっているくらいだから、おもしろいはず、名作にちがいないと、ずっと思っておりました。  いつか読もうと思いつつ、今まで読まずにいた一冊、その『砂の器』をついに読みました。以下、ネタバレの感想です。これから読もうと思っている人は読まないでくださいね。 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓  ハンセン病に対する差別問題に切り込んだ社会派ミステリー、と信じて読み始めたのですが、そんなんじゃない。『砂の器』はトンデモ推理小説です。とくに最後のトリックがひどい。犯人が殺人に使った凶器はな...
よもやま話

はじめての国会図書館

いつか行ってみたいと思いつつ、47年間行かなかった国会図書館に行ってきました。普通の図書館では読めない、昔の地方新聞の記事を読むために、永田町まで繰り出したのです。国会図書館には日本で発売されたすべての本があります。  国会図書館と一般の図書館の違いは、本を館外に持ち出せないこと。すべての資料は貸し出し不可なのです。できるのは閲覧とコピーだけ。そんな、国会図書館についてのよもやま話です。  国会図書館には、基本的に書架はなくパソコンがあるだけ。たいていの本はデジタル化されているので、原典の画像をパソコンモニターで見ます。それをコピーするというのが王道の使い方です。それ以外ですと、  その① デ...