特上寿司

 8年前。部屋の扉をノックし、ダディーが思いつめた表情で入って来た。「今日で父さんは定年退職だ。これからは自分の生活費は自分で稼ぎなさい」。ついに怖れていたものがやって来た。こんな甘えたひきこもり生活はこれでお終い。働かなければいけない、外に出なければいけない。今まで先延ばししていたものが全部自分に降りかかる時が来たんだ。

 今日、寿司を食べました。特上寿司でした。そんなにお腹はすいていなかったのだけど、ダディーがかってに出前を頼むものですから。甥っ子とみんなで食べましたよ。甥っ子が残した分はボクが食べました。だからボクは1.5人前くらいの特上寿司を食べたことになります。Imgphp

コメント

  1. 父親が退職しても、ボクのひきこもり生活に
    影響なし。こんなにも、影響しないとは
    ショックです。
    仕事の苦労話、そのような弾を撃ちまくる立派な兄弟。
    その弾が、ひきこもり中年男子に全弾命中するのですから、たまりませんなあ。
    親のすねこそが、ベーシックインカムであると聞いております。

  2. 僕もだいぶ前から(親の)年金生活者です。
    何年前からかは、憶えてません。ひきこもっていると時の流れに疎くなります。
    今日は、ハローワークへ行ってくると母上に嘘を言って朝早くから外出し、映画館で映画を観て、今はネットカフェにいます。
    ひきこもりが慢性化し軽いバイト程度の就業体験しかないまま中年になってしまうと、いざ仕事探しと意気込んでも何がやりたいのか、できるのか見当もつきません。
    ベーシックインカムが実現する日の待ち遠しい今日この頃です。

  3. 何だか数ヶ月後の自分のことのようで、読んでいて少し動揺してしまいました。家にいると言っても一応ひととおり家事をやってきているので、家族はその時が来たら自分が何の抵抗もなく働きに出ることを疑っていないと思います。今最も考えるのを避けていることです。
    ……にも拘わらず、只今超仕事人間の妹が帰省中です。帰って来るたび『仕事話・苦労自慢』という弾を装填した機関銃を撃ちまくります。気が狂いそうです……。(泣)
    今回も愚痴っぽくて失礼しました。

  4. 父親の定年退職は、ひきこもりにとってかなりの恐怖であります。
    今までの安全地帯が一気に壊れたような感じで、
    これからは、自らが作り方のわからない安全地帯を作り、管理しなければならない・・・これは本当に恐怖です。
    これからどのようにすごすか。
    進むべき道は。
    多数派的同年代人生活動者との差を感じてしまい、取り残された恐怖。
    また、どのようにしてそのような人生を送らざるおえなくなったのか、日々悶々と自問自答する日々。
    結論が出て、どうにもならないがその原因となるものに対するやりようの無い怒り。
    これらが一気に湧き上がりはじめる瞬間でもあります。
    現在も、テレビなんかを見ていると更に僕を追い詰めるニュースがいっぱい流れています。
    だから、今日もオリンピックだけどテレビは見ないで寝る事にします・・・。

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