私が記憶する手痛い失敗の一つは、NECのPC-6001を購入してしまったことです。
ばーん。もう現物は持っていないので、ネットで拾ってきた画像です。1981年発売、これを「一生のお願いだから」と父に頭を下げて買ってもらったのが、小学校5年生のとき。見てもわからない人のために説明しておくと、パソコンです、当時はマイコンと呼んでいた、マイクロコンピューターの略ですぞ。
魔モノである。緑の画面の悪魔である。現代人には話しても信じてもらえないかもしれないが、画面は基本的に緑一色。モノクロ(白黒)ではなく、緑。古代コンピューター社会では、緑は目にいいという信仰があったため、画面が緑なのです。
↑これが起動直後のスタート画面です。なんだか分からないでしょ。プログラミング言語はBASIC。こんなものを7万円くらいだして買ってしまった。これさえ買えば、あとは自分でどんどんBASICをつかってゲームを作れる、ずっとゲームが無料でやり続けられるという、小学生なりの野望(妄想)があったのです。
記録媒体はカセットテープ。音楽を聞くあのカセットテープにゲームのデータも入っている。ロードするときは、ガーーーー、ピーーーーーーと音を立てるカセットを聞きながら、30分以上待たなければならない。じっと耐えていると、『ミステリーハウス』のようなアドベンチャーゲームもできた。
そんな緑の魔モノに一喜一憂していた、その一年後に、遥かに性能が良くて、安いゲーム機、任天堂のファミリーコンピューター、ファミコンが誕生したのです。
比べるのも任天堂に失礼と、思うくらい格が違った。ファミコンの性能はゲームセンターのゲームと比べても遜色がない。
私は途方に暮れました。小学生にはあまりに高価なものを、一生の頼みだといって買ってもらった、そうして手に入れたものが、一年後に「産業廃棄物」になってしまったからです。
以後、パソコンというものはダメだという考え持ち、さらに汎用機というものはダメなんだ、専用機のほうがすぐれているという、ゆがんだ価値観がまで持つようになった。14年後、Windows95が登場し、パソコンブームが来ても、私は見向きもしなかった。元パソコン経験者として、パソコンがいかにダメなのものであるかを友だち相手に説得してまわった。PC-6001の呪いであります。
そんな私が、初めてパソコンに触ったのはそれから三年後で、ウインドウズ98が発売になってからです。すぐに私はパソコンになじみ、インターネットになじみ、以後パソコンなしの生活は考えられなくなるほど好きになったのでした。
パソコンに目をつけるのがちょっと早すぎた。早すぎると言うと、時代の一歩先をいっていてかっこいいことのように思うが、実際、時代の一歩先とは、緑の魔モノを高値でつかまさせるという、ろくでもない地獄なのです。あれ以来、特に電化製品に対しては、少し遅れるくらいでちょうどよいという、消極的な考えで生きております。
コメント
DAT、懐かしいですね。
規格争いが魔モノを生みだすんですな。[E:#x1F419]
私の従弟も1981年にNECの、こういう緑色画面を買った。
恐ろしく高かった。
まあ、電化製品はドンドン安くなり小さくなるのが宿命ですが。
私が初めて買ったPCは、やはりNECの98シリーズ。
windows95の頃。
あの頃は、NECがブイブイ言わしてて、サポセンの電話もフリーダイアルでなく、東京03までかけて、音楽を流してひたすら待たせ、電話代がドンドン上がる。
誰かが言ってたなあ、「電化製品は初版を買うな」と。
私は、MDに飛びついて痛い目に遭ってます。
ビデオもベータを掴んでしまったし。
それでブルーレイレコーダーもなかなか買わなかったが、数年前とうとう買った。
次世代がいつまで経っても出そうにないし。
その後、例の従弟は私のPC関係の先生役になってるが、今やその子供の方が詳しくなってる。
コスパを考えると、どのタイミングで買うか、電化製品選びは難しい。
DATって、まだあるのかなあ?