コンクリート大阪城

 大阪城が鉄筋コンクリート造りだと知っていますか。私は訪れる直前にガイドブックを読んで知りました。なんとも風情のない、野暮な建築方法じゃないですか。でも、いざ大阪城に来てみるとそこは天下の名城、威風堂々たる風格があり、心は戦国時代にタイムトリップです。

 大阪冬の陣・夏の陣。戦国時代に終わりをつげる戰いがここで行われたのです。現存しているのは内堀の部分だけですが、それでも大きい。駅から天守閣に辿り着くのも一苦労です。豊臣秀吉が造った元祖大阪城はこれよりも遥かに大きく、外堀は淀川に接していたほどでしたから、もう街全体が城のような感じだったのです。

 真田幸村、後藤又兵衛になったつもりで大阪城に乗り込む。そこにあったのは予想を遥かに超えた近代的なロビーでした。天守閣にエレベーターと、完全なバリアフリー仕様です。老舗問屋の番頭さん風のおじさんに「ちゃんと二列にならんで」と注意される。城の体をなしていない、私は武将として大阪城に乗り込んできたのですぞ。

 大阪夏の陣で、城は炎上、秀頼と淀殿は自決して豊臣家は滅びます。しかし現代の大阪城はコンクリートでがちがちで、燃えるものは何もない。手すりもすべて金属製で叩くと「コーン」と音がなる。

 お堀も石垣もよい。天守閣も外から眺める分には良かった、が中に入ってしまったとたん歴史のロマンが吹き飛んでしまう。私の大好きな武将、真田幸村が陣取っていた真田丸にはNHKのビルが立っている。ひきこもりの空想力を駆使して、一生懸命、赤備えの兵を想像しましたがどうにもなりません。真田の軍勢が、家康軍を蹴散らしたのは、大阪人の誇りだと思い込んでいたのは私だけだったのですね

 お城の中は、大阪万博のノリを引きずった秀吉パビリオンといった具合で、安っぽい秀吉物語が切れ切れに上映されています。誰もそんなものは望んでないのに。秀吉に関連した、鎧や兜、茶器などが見たい。でもあるのは複製品(レプリカ)ばかりです。戦国時代に思いを馳せることを拒絶するお城に完敗です。

 大阪冬の陣・夏の陣は、大阪城vs全国大名という戦いでした。ひとつの城で全国を相手にするというのだから、万に一つも勝てる可能性のないものだったのです。それでも冬の陣では互角に戦いました。それほどスケールの大きい城なのです。川、海、堀、石垣、それに広大な土地、どこからでも攻めて来いと、真田幸村や後藤又兵衛でなくても思うはずです。家康もこんなバカでかい城では、和解して堀を埋める以外手がなかっただろうなあと思います。

 信長の野望ファンとして、戦国時代を味わいたい。しかしこれでは……そこにあったのが兜と羽織を300円で貸してくれるサービスです。これで誰でも太閤秀吉になれる、その勇姿がこれです。大阪城って、世間的には珍スポットということになるんじゃないかな。


この記事へのコメント

  1. お久しぶりです。
    LOVE寂聴を読み終わったので
    現在は勝山さんの新作本がでるのをを楽しみにしてます。
    記事と関係ない話ですみません。

  2. 外見は城でけど、中身は団地という大阪城です。
    ひきこもり巡礼地に指定します。
    そうです、真ん中の太閤秀吉が私です。
    大変兜が重く、後ろに引っ張られるような感じです。
    両脇は清正と又兵衛に扮した、十大弟子の皆さんです。
    大阪城の、間違った方向にエンターテインメントな
    仕様には面食らいました。ぜひまた上洛したいです。

  3. This is it ! This is osaka !!
    でや!これが大阪や!と言わんばかりの自己主張をご覧頂いてご満足頂けたでしょうか?
    コスチュームレンタルのおじさんにも浪速あきんどの魂(ソウル)をお感じ頂けたのではないでしょうか?
    また、ぜひお越しください。その時はミヤネ屋なんか目じゃないくらいのディープ大阪をご案内いたします。

  4. 画像が小さくてよくわからないのですが、真ん中が名人ですかね。とすると他の二名は当日名人観察会に参加された方ですか。
    なんと羨ましい。
    それにしても大阪城でのコスプレ、実に雅よのう。

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