2018-06-01

よもやま話

電車で(1)

「足、踏んだでしょ」と、私の前に立っている女性が、私の右斜め前に立っている女子に対して言った、というよりはからんでいたのです。電車の中で、私が座っている眼の前で、そういう小競り合いが勃発していたのです。  酒に酔った女が、無実の女子に粘着しているだなと思い、私のなかの正義がむくむくと湧き上がりました。「やめたまえ」と、心の中でその女性に言いました。あくまでも心の中だけで現実には何にも言わずに、じっとしていたのです。  下手になんか言うと、自分まで巻き込まれるんじゃないかと……だって女子が足を踏んでないとすれば、ではいったい誰が踏んだのか? あれ? こいつじゃないの? この黙って座っているおっさ...