ひきこもり反省文 -輪るピングドラム-

 ひきこもり名人とか言って、全然ひきこもっていないじゃないか、ブログだけ読んでいるとそんなふうに思うかもしれません。でも11月に入ってから二週間、歯医者に行く以外は、ほとんど家にひきこもっていました。ひきこもり初心者のように、夜ふかしして、昼過ぎに起きる。何をしているかというと、パソコンでアニメの動画を見ているのです。

 世間がイメージするひきこもりそのものの生活。ネトゲ廃人、の動画版といえましょう。ネットで「生存戦略」という言葉を見つけたのです。オタクが喜ぶ言葉といえば「生存戦略」だというような紹介のされかたでした。これはどういうことなんだろうと、気になってグーグルで検索するとアニメの動画がたくさんヒットする。

 いわゆるアニメ好き男子が好きそうな美少女が「生存戦略ーーーー!!」と叫び、ロック風のアニメ音楽に合わせてセーラームーンを派手にしたような映像とともに、変身する。そんなシーンが延々と流されるのです。そして美少女はヤッターマンにおけるドロンジョ様のような衣装になり、ふたり組のイケメン男子に「きっと、何もになれないお前たちに告げる」と下僕に命令するかのような口調で、ひどいことばかり言い始めるのです。

 美少女が変身して、スーパーウーマンになり悪と戦う、そんなものではないようです。変身して罵倒ですから。SMの女王様のようです。しかも罵倒している相手が、ボヤッキー&トンズラーのようなブ男ふたり組ではない。前後のストーリーが見えないので、変身する理由も分からない。どういうアニメなんだろう、これのどこが「生存戦略」なんだろう。

 もう少しだけ調べよう、そんなちょっとした気の緩みが、アニメ動画廃人への道でした。生存戦略に、折伏されてしまったのです。一話30分のアニメを、延々と19話まで見る、合計約九時間半。しかも違法な動画共有サイトで鑑賞。こうなってはいけないひきこもりの典型です。

 すっかり生活リズムがくるい、風邪も引いてしまい、今日など咳が出てよく眠れませんでした。もうこんな生活では困ります。深く反省し、今日より生活を改めることを天に誓います。生存戦略の正体は、輪るピングドラムというアニメで、最初の10話くらいまではギャグアニメとして抜群に面白い。そのあとは一転してシリアスな展開になります。謎が謎をよび、それがまた新たな謎を生む、でも謎は一切解明されないという消化不良アニメで個人的には退屈。なによりも、私のごちそうである、生存戦略の変身シーンがほとんどないのです。ドロンジョ様風のヒロインが、主人公を罵倒するシーンに喜びを見出していたのに、とんだお預けです。

 初代ガンダム以外のアニメにはあまり関心がありませんでしたが、久しぶりに人間がダメになるまでアニメを見ました。こうなってはダメだぞ、それがダメになってしまった名人からのメッセージです。がんばって、もう見ないようにします。

コメント

  1. 生存戦略ということは、つまり「どうやって食っていくか」ということであり、それは現役ひきこもりにとって大きなテーマです。名人が興味をひかれるのも当然かと思います。ただ、ピングドラムが解決策を示すことはないでしょうなあ…。

  2. ほほう、一味違うアニメなのですな。
    全24話ということですが、なんか全部見てしまいそうだ。
    私も、最近のアニメに対する耐性はないのです。
    でも生存戦略の意味だけ知ろうと思って見始めたら、廃人になっていました。

  3. 某動画サイトで見てみました。アニメの最初の5分間が似たり寄ったりなのがギャグなのかな。
    よくわかりませんが。
    絵が少女マンガっぽいので耐性がないと結構つらいですね。

  4. 私もアニメにはまったく疎いニワカなのですが、セラムンで名を馳せた幾原邦彦さんはウテナ以後文化庁派遣芸術家在外研修員としてアメリカに派遣されてたのが印象にありました。この人も権威の壁にはね退けられ彷徨っているのかと・・・。ウテナと言えば寺山修司からの影響を思わせるJ・A・シーザーの楽曲が印象的であり、三島由紀夫への理解もあったのではないかと思います。そのへんは名人や識者様の解説に譲るとして、ここで申し上げたいのは永野護からの影響です。幾原邦彦さんが川村万梨阿とWeb上で交換日記を行っており、シェルブリッドにおける交流と共にこれは永野護と相当の信頼関係がなければ実現し得ないはずです。「廻るピングドラム」はいわゆる”萌え”(商業)アニメと明らかに違う文脈の上で生み出されているし、同列に扱うのはあまりに惜しい。逆に言えばメジャーにはならない。三島由紀夫とは違った結末になって欲しい。名人が既存の社会の枠組みにとらわれないこの人たちのイメージに何か感じるものがあったのは当然であり、案外近いところにいらっしゃるのかもしれませんよ。”戦闘美少女”の第一人者でもいらっしゃる斉藤環先生もニヤリとしていらっしゃることでしょう(^^)

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