当事者とは何か・ひきこもりカツラ編

 ハゲを隠すためにかぶるのがカツラである。人様に自慢できないあれやこれを隠すためにかぶるのが「ひきこもりカツラ」である。ニートカツラ、不登校カツラ、リストカッツラなど、人それぞれ申し訳ない面目ないと思うココロにそっとかぶせるひきこもりカツラ達。

 お金はないけど暇はあるからブックオフにでも行こう、でも毎日行くとひきこもりぶりがあらわになってしまうので週一回それも土曜日だけにしよう、そんな決心がひきこもりカツラなのだ。毎日、昼間にコンビニに行くとニートぶりがあらわになってしまうので夕方になってから行こう、そんな心構えがニートカツラなのだ。

 実は普段の生活の中で、僕は不登校カツラをかぶっていることを公表していない。臆病な自尊心が僕に当事者になる勇気を与えないのだ。中卒はない。かつては優等生で、学区内で一番偏差値の高い高校に入学したけど、まったく勉強についていけず落ちこぼれ留年か中退かの二者択一をせまられ、結局高校をやめたと、ああ皆にこう言えたらどんなに爽やかな気分になれるだろうか。中卒だけはないよな、そういう顔をしながら、そういう会話にあわせて生きている、不登校カツラの下は冷や汗脂汗で蒸れ蒸れだ。高校は卒業したけど大学には行ってない、そんなカツラ暮らし。

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