中古とひきこもり

 本もCDもゲームも中古になると急に魅力的に見える。新品のときは見向きもしなかったものも中古品として棚に並べられたとたん手に取って眺めて見たくなる。値段と商品状態をみながらの店との駆け引き、その総合点と自分の物欲とを天秤にかけてどうしたものかと哲学する面白味がある。価値あるものを安く手に入れた時の達成感と安堵の気持ち、それはなんなのだろうか。

 気付けば中古依存の人間の部屋はゴミ屋敷。どこかに出かけるたびにブックオフのような古本屋や中古レコード屋をのぞきうろうろして、何か買ってくる。本を買っても本を読む時間までは買えないのだからどうしたって本がたまってくる。あんまり聴かないCDで一杯だ。もう中古の世界から足を洗おうと思う。中古に興味を持たず、新品製品だけで暮らしている人は幸せだ。時間はもちろん、経済的にもお得だと思う。家にある買っただけで満足してしまったあれやこれに囲まれて、なんだかうっとりしている、そんな馬鹿なひきこもりにならずにすむのだから、きっと幸せだ。

 ひきこもりの苦味が増していると思ったら世の中にある「中古」からちょっと離れてみることだ。中古は最高級の嗜好品であり、非常にいい趣味だと思う。だからこそ腹八分目なんや。

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