なぜ頭が悪くなったのか

 中学までは勉強が出来たけど、高校になって落ちこぼれた。たった半年くらいの間に、一気に頭が悪くなったのです。そもそも中学の時から、学校で自分がやっている勉強は役に立つのか、という疑問が常にあった。たぶん役に立たない、広く浅くマニアックな雑学を暗記しているだけだとしか思えなかった。でも、もしかしたら将来、学びたい何かがひょっこり現れた時に、この雑学が基礎学力として役に立つかもしれない、そんな漠然とした空想を支えに勉強をしていたよ。

 勉強と言っても暗記なんだ。大事だ、試験に出る、と先生の言う部分だけを暗記して、試験が終わると全部忘れるというのを繰り返す。すごく大変な思いをして、すごく無駄なことをしているんじゃないかと心配しつつも、もしかしたら将来すげー役に立つかもしれないという期待と不安から、一応やっておかなきゃとガリガリ勉強しちょった。

 教科書暗記、過去問題暗記、公式暗記。ガリガリ暗記して、やだなーって、暗記はやだなーって、暗記なんて必要ないんだっていう、そういう証拠が欲しいなあって考えてた時、ぴかっとひらめいたですよ。

 全部憶える必要はない、必要なときに、必要なところに辿りつければそれでいい。どこに何があるのかさえ分かっていれば、どんな質問にも、即答はできないが、調べる時間さえくれれば、答えられる。「検索」です。図書館のどこに資料があるのかを調べる力さえあれば、この世のほとんどのことは暗記する必要はなくなる。情報にアクセスできれば、それでいい。

 ガリガリ暗記勉強した結果、たどり着いた真理がこれだった。グーグルを先取りしてたね。この世に、図書館もパソコンもないなら、暗記するしかないけど、そうじゃないからさ。暗記勉強しなくていい、もってこいの真理を見つけたので、以後一切勉強をしていない。こんなことに気づくなんて俺は頭は良いんじゃないかと思うけど、学校の成績はどんどん下がる。他者からの評価は下がりっぱなし。頭がどんどん悪くなる、落ちこぼれ生徒でしかない。

 学校のテストも家に持ち帰って調べれば100点取るのわけじゃん。なんで教科書とか参考書は、持ち込めない、見てはいけない、という特殊な空間で正解しなければいけないのか。そんな試験テストの意味がわからない。それが祟って屁理屈おばけなった私はどんどん落ちこぼれて行き、最終的には高校を中退する。

 頭が良いとはどういうことなのか。ガリガリ暗記しても、中古の電子辞書の足元にもおよばない訳じゃん。物知りであることと、頭が良いこととは違うし。そんな屁理屈をずっと考えながら、受験勉強していたわけですから、まあどこの大学にも受からんですよ。頭の良さとは面白いことを思いつく、そしてその思いついた面白いことをうまくやる、それが揃って頭の良さでしょ。どうよ。

コメント

  1. 日本の教育は世界一ーーーーー!!!!
    と雄叫びをあげている文部官僚の姿が眼に映ります。

  2. 勉強ができて、しかも勝山さんが言っている「調べればわかるんだから覚えなくていいだろう」という事に気づいているという人はどうして勉強をしているんだろう?とものすごく不思議に思います。
    そのモチベーションはどこから来るのか。
    そんな意味のないことを、どうして何年もやり続けることができるんだろうか。

  3. ネアンデルタール人とか北京原人に対する知識なんか、
    いらないだろうなと分かっていて勉強するのはつらかったなー。
    さすがアインシュタイン、小粋な
    ことを言いますのう。
    憶えるべきことっていうのは、
    小学校の4年生くらいまでの知識だと思う。
    暗記がしたくない→テストの点が下がる→よってバカである
    となるのは本当に不本意ですのう。異議ありです。

  4. 私もお前はバカだダメだ違うやめろとよく言われます。そう言うのが普通になって慣れてくると「死ね」といわれます。冗談めかしてではなく、面と向かってはっきりと「死ね」と言われます。「頭の悪いお前にもわかりやすく言ってやろう」というわけです。何度もバカだバカだと言われるといわれた方は平静を装えるようになるので、より過激な言葉にエスカレートしていくわけです。何度目だろうがお前はバカだといわれるたびに深い心の傷が増えていくのですがね。そしてそれでも逃げられないと本当に死んでしまうんだと思います。殺すまでいや殺しても他人の心の痛みなどわからないのです。「頭が悪い」というのと「死ね」というのは本質的には同じことを言っているのだと思います。私は死ぬ前にその場から逃げました。自分の命より大切なものなどありません。「死ね」と言われる前にその場から逃げた名人は賢かったと思います。

  5. 初コメントです。
    いつも記事拝見しておりますが今回特に共感しました。
    以前から私が漠然と思っていたことが明文化されていたかのようです。
    憶えるべきことと、その都度調べればいいこととがゴッチャにされてると、ほんとキビしいです。

  6. アインシュタインは、電話帳を見れば
    わかることだからと
    自宅の電話番号を覚えなかったそうです。
    どこで読んだか忘れたけど
    考えることが重要とか、そんな話でした。

  7. 勝山さんの脳みそは悪くないと思います。
    きっと本来の勉学の意味は、「暗記」と表現するよりは、内容を理解する、知るべき物事、ということなのかな。
    例えば、特に眼をそらしてはいけない歴史とか等かなぁ。
    ただ、一つ真理に気付いただけのこと。
    一つ悟っただけのこと。
    きっと、ただそれだけのことなのです。
    それでもかつての勝山少年は大検、大学受験へと歩んだのですね。
    本当はお母さんにありのままを好かれたかったのかな。
    本当は愛されたかったのかな。
    本当はどこか淋しかったのかな。
    親のことは、きっちり恨んで、一生許すことはないのでしょうか。
    それがどんなに精神年齢が赤子だった人だとしても。
    いつか許そうとすると、楽になるのかなぁ。
    過去とは言えとても切なく思うけど、その分だけ、他者へは優しくなれたのかな。

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