訓練の成果

 あけましておめでとうございます。今年の目標がない、勝山叔父さんです。ひきこもり作業所に通い始めて5年が過ぎました。そんなことは大したことじゃあないんですよ。でもね、それじゃあ困る人もいるんです。ひきこもり作業所というところは、社会復帰、社会参加のための訓練所です。つまりですね「勝山さん、そろそろ訓練の成果を見せてくださいよ」と言う訳です。

 ごもっともなんですな。5年もひきこもり作業所に通っておるのですから、何らかの訓練の成果があってしかるべきです。「勝山さん、ちょっと働いてみてくださいよ」となります。これが家の中ならうるせー、オレの部屋から出て行けと内弁慶を発動すればすむ問題なのですが、日頃お世話になっている作業所の人の顔を立てたい、でも働きたくないという思いがある。

 今は全力でお茶を濁している。去年の11月くらいから訓練の成果をおねだりされているですが、どう諦めてもらうか、どうやって円満なうやむやに持っていくか、そればかり考えています。訓練の成果が出るのはもう少し先だぞ皆に思い込ますことができれば成功、全員が幸せになれる。

 訓練の成果を求められて、就職を今年の目標にしてしまうような、サービスをすると来年以降が続かない。そんなかなうはずもない目標を立てて、作業所を旅立ちそしてゆくえ知れずになったひきこもりは数知れず。大きな目標の行き先は、象の墓場。誰も見たことがない、行ったことがない、死に逝く象だけが知っている哀しみの聖地。 

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