本屋のどこに、ひきこもり本はあるのか

 ひきこもり本といえば教育コーナーに置かれるのが定石であった。登校拒否のバッドエンディングとしてのひきこもり。ただ時がたつにつれて教育以外の棚にも置かれるようになる。精神医学だとか、心理学とかに。心の時代、心の問題の治療前の病みきった状態としてのひきこもりだ。

 ひきこもり本が教育と精神の棚を行ったり来たりしている時に現れたニート本。労働問題の棚が賑わいを見せる。ひきこもり本も労働問題の棚に入りたい、ニートと一緒に世間のスポットライトを浴びたいのだがむしろ分散していく。家族問題、ゆとり教育、ノンフィクション、新書コーナー、精神世界なスピリチュアルな棚へとばらけてしまう。こうなると本屋での存在感がなくなり、手に取って見てもらう機会がなくなる。ボクのようなプロフェッショナルがひきこもり本を探しても見つけにくいのだから、ひきこもりは死語として抹消し、ニート一本に絞ったほうがいいのではと思っていた。

 そんな時に近くの書店で見つけたコーナーに興味を覚えた。「社会問題」という棚だ。ワーキングプアを中心に、格差社会、ニートが真ん中を固める。その脇をひきこもり、不登校、そして夜回り先生がしっかり支える。夜回り先生がいい具合にハマっているんだ。ジェンダーフリー本もあり。年金問題、生活保護、福祉関連の本のいくつかもここに加わってる。これだ、と思いました。世の中の、負の遺産だと思われることがらは「社会問題」というくくりでまとめてもらうと非常にわかりやすく、探しやすい。本屋さん、ぜひ社会問題でお願いします。

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