甥っ子、泣かしました(4)

 「おい、おっさん、何やってんだ!」、ばーん甥っ子次男坊の登場です。しかし、なんという憎たらしい口の利き方でしょうか、4歳のお坊っちゃんとは思えない、横柄な態度です。小さくてかわいいという保育園児のイメージが、本人には気に入らないのか、自分のことを「俺」と呼び、小さいくせに「でかい態度」をします。それが愛嬌があっておもしろい。

 甥っ子次男坊は今、かまってブームとまねっ子ブームが両方いっぺんに訪れています。誰かのマネをして、すりよってくる。大の被害者が「お兄ちゃん」こと甥っ子長男坊です。長男坊「お兄ちゃん」と、次男坊「俺」で話を進めていきましょう。

 お兄ちゃんがやることなすこと何でもまねします。まねする方は楽しいだろうが、まねされる小学1年生のお兄ちゃんにとって、これほどうざいものはない。「あっちにいけ、来るな!」と言ってもすりよってくるし、まわりの大人からは兄弟なんだから仲良くしなさいと説教されるのです。兄とは損な役割ですのう。勝山おじさんも長男ですから、同情してしまいます。学校の授業はつまんない、家に帰れば「俺」がまとわりついてきてウザいとなれば心休まる時もない。

 

 甥っ子兄弟が遊びに来ました。でも両方といっぺんに遊ぶことはできないので、代わりばんこ。まずはお兄ちゃんと将棋をすることになりました。しかし、かまってブームの「俺」は納得いきません。おじさんとお兄ちゃんの将棋のじゃまをするのです。勝手におじさんの駒を動かして、「王手!」といってお兄ちゃんを憤慨させます。お兄ちゃんをなだめすかしながらの将棋です。「俺に駒を動かせろ」とおじさんのヒザにのり、王の駒を取りあげ、「王手!」言って駒をぶん投げる。さすがにこれはいかんと、「俺」を除外して、お兄ちゃんと二人だけでやっていると、ダッシュでしてきて、そのまま将棋盤の上を走り抜けました。お兄ちゃんがキレた。キレる若者の誕生です。

 

 「警察ーー! 警察を呼んでくれーーー!!」、と叫ぶお兄ちゃんをおじさんがなだめます、まあまあ落ち着いてくださいと。そんなお兄ちゃんに向かって「俺」が「どうせ、警察なんて呼ばないくせに」と言うもんだから、お兄ちゃんの頭のサイレンがピポピポ鳴り響りだし、「警察だー、警察に逮捕してもらう」というもんですから、困ります。でも、さすがにかまってほしいからといって他人の遊びの邪魔をするのはマナー違反ですよ。お兄ちゃんもおじさんも、爺もみんな、「俺」がよくないぞと警告すると、すねてしまいました。そして、

 

 押入れの中に入ってましいました。おやおや天岩戸、押入れひきこもりです。お兄ちゃんが「いつも押入れに入る」と私に説明をしてくれました。すねると押入れに入るようです。戸を締めて押入れの中でストライキでしょうか、面白い、いいリアクションだなとおじさんも感心しました。静かになったのでそのまま将棋を続けていると、

 ん? おやおや、子どものすすり泣きが聞こえるぞ。なんだ、なんだ、あっ大変だ。ガラッと押入れの戸を開けると、顔を涙で濡らして「俺」がしくしくと泣いているじゃないですか。これは、いかん。お兄ちゃん、おじさん、老爺の三人でよしよし、もうお前さんを一人ぼっちにはしないよとなぐさめますが、なかなか泣きやみません。「俺」が実はナイーブな性性格だということを忘れていました。押入れに入っても誰も引き出しにこない、出るタイミングを失って押入れのなかですすり泣いていたのです。おじさん大失態です。いつも入っているから大丈夫だと油断してしまいました。

 遊びは「俺」優先。まず、「俺」と遊んだあと、お兄ちゃんと遊ぶというシステムに変えました。朝三暮四。平等に遊んでいるのですが、まず「俺」から、そしてお兄ちゃん、これでどうでしょう、これでおじさんをゆるしてくれるでしょうか。そして、いつになったら、私のことを「おっさん」ではなく、「おじさん」と呼んでくれるのでしょうか。
<終り>


この記事へのコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です