真・鬼ごっこ

 甥っ子も小学校五年生にもなると、単調な遊びでは満足してくれません。前だったらピッチャーが投げる、キャッチャーが取る。ストライク! ボール! の審判の判定だけで満足してくれましたが、今じゃその程度では「なんか、盛り上がりに欠けるな」、とダメ出しをしてきます。野球をするにも、サッカーをするにも、ひと工夫必要なのです。

 それに加え、調子に乗った甥っ子次男坊(小学校二年生)もいますから、遊びも混乱をきわめます。甥っ子次男坊の主張は明快で、野球もサッカーもやりたくない、はやく家に帰りたい、です。それをなだめて、公園で遊ぶのですから、兄弟が仲良く遊ぶなんてことは、ありえません。

 やる気がなく、すぐ帰りたがる弟を、兄貴がからかいバカにする、弟がきれて兄貴をぶっ叩く、兄貴が「調子にのるな!」の決め台詞とともに鉄拳をふるい、次男坊号泣(嘘泣き)。これが毎回繰り返される、公園遊び始まりの風景です。

 そんな二人をなんとか、なだめすかしながら、両人がどうしたら満足できるかと、どうしたら遊べるかを考えます。その思索のなかから生まれた遊びが、「真・鬼ごっこ」です。

 じゃんけんして負けた人が、鬼になって追いかけて、タッチされたら今度はその人が鬼になって追いかける、それは普通の、鬼ごっこ。「真・鬼ごっこ」では、じゃんけんで負けた人が、地獄の鬼となり悪の限りを尽くします。

 実践してみましょう。じゃんけんぽーん、勝山おじさんが負けました。その瞬間、二人の甥っ子が、「ぎゃーーーーーーーー」と言いながら公園中を逃げ回ります、そんな二人の子供うちの一人に狙いをさだめ、もはや人間でなくなった、子供に暴力を振るう本当の鬼になった勝山おじさんが追いかけます。ダッシュし、追いついたら、甥っ子の首根っこをつかみ、地面にばーんと倒します。どうだ、と。

 さっきまで、きゃあきゃあ言っていた、甥っ子長男坊が、苦悶の表情を浮かべています、「腰をうった……、痛い……」そういって、涙をぽろぽろ流すのです。「何でこんなひどいことをするんだ」という甥っ子の問いに対し、勝山おじさんは「本当の鬼だから」と答えます。甥っ子長男坊は小学校五年生ですから、理屈はわかってくれました、でも腰が痛いと、地面に横になったまま涙をながし、しばらく立ちあがれないのです。

 大人気ない、やりすぎる勝山おじさん。自慢できない親戚として、またワンランクアップしてしまいました。でも、そんな真・鬼ごっこ、もうやらねえよ、とはならないのです。公園の遊びの締めは、毎回これをやっています。勝山おじさんが「本当の鬼」になって、甥っ子を追い回す、警察に通報されるギリギリ、もしくはアウトのところまでやる。いかがなものでしょうか。ちゃんとした大人にならなきゃいけないと、反省しているのですが、真・鬼ごっこを超える遊びが思いつきません。どうしたらいいでしょうか。

コメント

  1. 力加減がわからない、勝山おじさんが
    問題なのですが、甥っ子が中学生になったら、
    おじさんが逃げます。
    ハンデというか、手加減というのが
    子供には受けが悪くて、悩んでいます。
    おじさんの全力は、とても受けがいい。

  2. ハンデをつけたらいかがでしょう?
    例えば名人が鬼のときは捕まえてヘッドロックとかスリーパーホールドぐらいにして、甥っ子さんが鬼のときは全力でokみたいな感じで。

  3. なるほど「真・鬼ごっこ」で甥っ子さん達に公平に力比べさせて
    日頃のストレスのガス抜きと同時に、
    力の加減や自分の力量を学ばせることができるというわけですね。
    弟に対するいたわりや兄に対する敬いが自然に
    身に付くんじゃないでしょうか。
     今のうちですね、甥っ子さんが中学生くらいになったら
    勝山おじさんもかなわなくなっちゃうでしょうから。
    3人で熊野に行ったらいいんじゃないでしょうか。妖怪ウォッチは
    しばらく入手困難そうですからね。

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