お留守番

 「頼むから土曜日は家にいてくれ」と甥っ子長男坊が何度も頭をさげて頼むのです。ひきこもりも名人クラスになると、外に出ろとは言われない、家にいてくれと懇願されます。

 何でもお兄ちゃんのマネをするはずの甥っ子次男坊が唯一マネをしないもの、それが野球です。兄ちゃんは野球が大好き。勝山おじさんも野球が好き。なのに甥っ子次男坊ときたら「どうでもいい」と見向きもしないのです。だから家族でプロ野球観戦につれて行っても、席に座らず、歩きまわり、「帰りたい」を連発します。

 「頼むから土曜日は家にいてくれ」と甥っ子長男坊が何度も頭を頼むのは、弟を東京ドームには連れて行きたくない(!)から。東京ドームから帰ってくるまで弟と一緒に遊んでいてくれ、という嘆願なのです。邪魔者あつかいとはかわいそうに、誰もお前に寂しい思いをさせやしないよ、おじさんと甥っ子次男坊のふたりきりでのお留守番、と思いきや老婆もいるので三人でお留守番です。

 老婆が近くにいると、おじさんが阿修羅フェイスになる、というのは勝山家のお約束ですね。おじさんの表情がみるみる曇り、裏の閻魔フェイスがチラチラと見え隠れします。子どもは、大人の顔色をうかがう生き物です。おじさんの小さな異変に、甥っ子次男坊はすぐに気づきます。勝山おじさんも筋金入りのアダルトチルドレン、他人の顔色だけを見て育ってきました。甥っ子の不安な気持ちをすぐにさっして、阿修羅フェイスを封印。老婆から目をそむけ、ゲームに没頭します。心よ、ゲームに集中せーい。

 (ちょっと阿修羅フェイスだけど)おじさん独り占めにできる、甥っ子次男坊大喜びです。まずは「UNOごっこ」、ただカードを次々出して「ウノ!」と叫ぶだけの遊びです。お兄ちゃんがいたら、怒られてしまいます、今日だけできる遊びです。将棋ごっこ、億万長者ゲームごっこ、と順々に空想ボードゲームこなしたあと、マリオに突入です。

 甥っ子次男坊のゲームスタイルは、全部おじさんにやらせる、です。次男坊は見ているだけ。どちらが遊んでもらっているか分かりませんね。一緒にやろうと言っても、「ひとりがいい」と速攻で対戦プレイを拒否するのです。唯一、受け入れてくれたのが、マリオテニスのダブルスでの協力プレでした。昼寝の時間も含めて、六時間に及ぶロング接待。ファミコンで鍛えたゲーム力が大変役に立ちましたよ。

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