ひきこもり親子が仲良く暮らす方法

 一言も口をきかないことです。ひきこもり親子が一つ屋根の下で仲良く暮らしたいのならお互いに一言も口をきかないことであります。食事中に「誰のおかげで飯をくえるんだ」「うるせー」とか言わないこと。こんな簡単な決まりごとを守るだけで家の中は静かで快適なものになるはずなのです。

 そうなのかと実行に移そうとしてはたと気づく、ママンが食事中に一言も口をきかずにいることが現実的にありえるだろうかと。机上の空論、絵に描いた餅。そもそも何故あんなに働け出てけと罵り続けるママンがひきこもり息子の夕食を毎日作り続けるのだろうか。誘っているのです、台所こと親孝行トーク場に誘っているのです。審判が笛を吹き、選手がちょんとボールをさわった瞬間にサッカーの試合が始まるように、ママンの用意した夕飯にひきこもり息子がちょんと箸をつけた瞬間、親孝行トークの試合が開始する。出てけ、そしてうるせーであります。

 ママンはいつでもハッスルしていますが、ひきこもり息子のほうは大抵うんざりでしょう。これが昼夜逆転の原点です。試合開始時間になってもトーク場にひきこもりSONが現れなくなります。好物を用意したり、ご飯だとひきこもり部屋の扉をどんどん叩き続けてもちっとも出てきません。ママンとしては人生の楽しみを完全に奪われた形になり、ひきこもりはよくない、治さなければいけないと考え、躍起になっていろいろ始めるわけです。

 

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