アイツの一日

 セットした目覚まし時計を無視して、カーテンも閉めたまま、寝続ける。これじゃあ昨日と同じ、無為な一日になっちゃう、起きろ、カーテンを開けて、朝飯を食べて、外に出ろと、叱咤激励するのですが、何の反応もありません。

 昼になってようやくアイツが起き出します。でもまだやり直せる。今すぐ外に出て、図書館にいけば、充実した一日になるはず。けれどもアイツは、朝飯を食べたあと、ひきこもり部屋の小さなストーブの前にじっと座って動きません。どうなっているんだ、アイツは。

 歯も磨かず、ひげも剃らず、アイツは動かない。動け、なんかやれ。昨日と同じ、何もしないパターンだと諦めかけた時、ふいにアイツが動きだす、パソコンのメールチェックです。ようやく動いたと喜ぶのも束の間、アイツはツイッターを見始め、さらには動画を見始めます。ついにはコンピューター相手に将棋を始めました。

 夕方になってしまいました。アイツは、何もしないまま、今日が終わろうとしています。冬の一日は短い。時間切れです。するとどうでしょう、アイツがひょこひょこ動き出すのです。にわかに着替えて、荷物をまとめ外出の準備を始めます。おいおい遅いだろう。

 部屋の窓から外を見る。外はもう真っ暗。時計を眺める、今から図書館に行ったとしても、着く頃には閉館時間の直前です。どうしようかとアイツが思案しているうちに夕飯の時間です。気持ちを切り替えたのか、風呂に入る。よしやるぞう、と意気込みはあるようなのだが何もしない。

 ブログを書こうとパソコンに向かうが、一日の大半は寝てたし、起きてもストーブの前でぼうっとしていただけだから、書くことがない。何かを吸収しようと本を読み始める。読んだ文庫本を片付けるついでに、五十音順に並べ始める。明日のToDpリストを作る。充実した下ごしらえを完成させ、布団を敷き始める。

 今日を捨てて、明日という果実を収穫しようという、いつものパターン。でも昼まで寝ていたので眠れない。結局、それなりに夜更かしをしてから、眠りにつく。そして翌朝、目覚まし時計が、ピピピとなる。ばん、と目覚まし時計をとめて、寝る。というのを、ずっと繰り返している。

コメント

  1. もんもんと一日過ごしていますのう。
    正しい冬のひきこもりですな。

  2. 模範的なひきこもり生活だと思います。

  3. 客観的にみると笑えますね。ついつい些細なことで1日じゅう悩んだり

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