自分探しはどこにいった

 自分探しという言葉があったような気がする。本当の自分を見つける旅みたいなのがあったでしょ。君はどうだ、君は出会ったか本当の自分に。何の根拠もなしに「もっともててもいいはずだ」と愚痴る本当の自分。「働くと疲れちゃうんだよ」とすべてを投げ出す本当の自分。「たぶんオレは天才なんじゃないかな」と他人には分からない才能に自信満々の本当の自分。

 いかがなものか。現実を踏まえ、謙虚な気持ちで、古今東西の名作を一通り読み、自分とは何か、どう生きるかを考えた結果が「もっともててもいいはずだ」に代表されるような本当の自分である。35歳だ。これが本当の自分なのだろうか。でもどんな人でも、自分は本当はいい人だ思っている。どんな悪党もポンコツも自分は“本当”はいい人だと心の底で思っている。でもこうやって改めて本当の自分を文字にしてみると、これはまずいかもしれない。でもなおらない、だって本当の自分だから。

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