仕事 そのニ

 しめしめ45。地球にも自分にも優しいひきこもりなら、ゴミの分別はきちんとやっているはず。新聞、雑誌、ダンボール、その他の紙を、各品目ごとにまとめ、「ひも」でしばって捨てている。

 なぜ、ひきこもりのしばったひもは、だらーんとするのか。そしてひもの隙間からてろーんと新聞紙が出てくるのか。古紙置き場にもって行く途中に、ばらばらになって泣きべそをかくのか。

 しめしめ45してないからだ。きりっと締まり、きりっと止まる。しめしめ45の世界に、ゆるむと言葉はない。伸びない、たるまない、てろーんとしない、ばらばらにならないから泣きべそもかかない。得意満面。古紙をひもではしばるのが楽しくなる。

 でも欠点もある、値段だ。2,500円位した。新聞紙やいらなくなった本をしばるのにあなたは2,500円出せますか。付け足すなら、しめしめ45は全てオリジナル部品で成り立っている。しめしめ専用ひも、専用ひも止めクリップ、専用カッターとある。消耗品、維持費が高くつく。お金をかけて、古紙を捨てている状態。いかがなものか。

 あえて言おう、その価値はあると。むしろ安い。ボクは大変後悔している、しめしめ45の高級後継機種である「しめしめ45II」を買えばよかったと。こちらは3,500円位するが、しめしめレバーというのがついており、握れば握るほどひもがしまるという、しめしめ好きには堪らない機能がついている。お尻をきりっとさせるために、ウォシュレットがあるように、しめしめ45は古紙をキリッとさせるためにある。ひきこもりの仕事というのは、ここぞという部分をきりっとさせる事じゃないだろうか。

 しめしめ45できちんと締め上げ、ひと塊のブロックのようになった新聞紙を見るたびに、いい仕事したな、ひきこもって良かったと思う、そんな一品です。社会復帰が遥か彼方に遠のいたぞ。Simesime45

コメント

  1. しめしめ45の使い方をマスターするより、
    ひもの結び方を覚えるほうが早いのかな。
    しめしめすることに、ひきこもりの矜持があります。
    デモよりも、ひきこもりがしめしめすることのほうが、
    社会に打撃を与えることだけは確かです。

  2. 3500円ですか。ひきこもり価格35000円也ですね。うーん、車1台買えそうな気すらしてしまうのは普段ケチケチしすぎているせいなのか、お買い物恐怖症という新手の神経症を患ってしまったのか、しばらく記憶の片隅に置いて熟成させてみます。衝動買いできる値段ではありませんね。
    ひも・ロープの結び方というような本を図書館で借りてプロのテクニックをマスターした方が安上がりですが、ひもの結び方って図の説明を見ても分かりづらいですよね。確かにしめしめ45Ⅱの機能には魅力を感じます。
    定職についている人がしめしめ45について熱く語るのは孝行息子とか、家事を積極的に分担してくれる良きダンナ、パパというように肯定的に評価されますが、ひきこもりが同じことをすると逆に反社会的に見えるのは悲しいところです。

  3. しめしめ45、DIYのお店で見たことがあります。
    でも、僕は不器用なので、これってどうやって使ったらいいのかわからないという感じです。
    色々とインターネットの端の広告なんか見ると、求人や就職、年収などの言葉が出ていますが、これを見ると、社会復帰・・・の言葉がやはり頭をよぎります。
    でも、社会復帰って本当は何でしょう。
    今、家にいる状態でも、町を歩いてもここは社会の中、東京の確か奥多摩に、隠れ村のようなものがあるそうですが、この村には住人が一人しかいないそうですが、たまに来る郵便屋さんとの接触があるようで、ここでも社会は存在していると思われます。
    家族であっても人と接触することは、社会にいるということであって、会社に行く事が社会に入る事とは・・・と思ってしまいます。

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