ひきこもりパパラッチ

 故・ダイアナ妃と言えばパパラッチ。有名人の写真を盗み撮りして新聞や雑誌に売り込む連中ことです。日本で言えばフライデーの記者ですかな。とにかく追い回し、待ち伏せして写真を撮りまくる。ダイアナ妃が泣いてやめてくれと言っても、それ今こそシャッターチャンスとばかりにばんばんと撮影する。こういう場面をテレビで見ているとたまらなく厭な気分になります、なぜだろうか、我が家にも否すべてのひきこもりの家庭には母親という名のパパラッチがいるからです。仮にハハラッチと呼ぶことにする。

 カメラのフラッシュやシャッターの変わりに、「出てけ」「働け」を連呼する母親パパラッチ。洗濯や掃除にかこつけて子ども部屋の前で待ち伏せする、あのハハラッチです。ダイアナ妃は泣いてしまいましたが、全国のひきこもりは「うるせー」「オレの部屋から出てけ」と怒鳴るはず。すると母ラッチは今がチャンスとばかりに、“誰のおかげで飯が食えるフラッシュ”をたきながら、親子なら何やってもゆるされるカメラのシャッターをきるのです。

 地獄であります。食いしばった歯ぐきから血がぼとぼと流れ落ちるやうな、ぎりぎりの状態ではないだろうか。ボクは全国のひきこもり息子をなぐさめるためにこう提案したい、これは親孝行なのだと。スターが写真を撮られるのが有名税なら、ハハラッチが夢中で息子の部屋に波状攻撃をかけ、ひたすらうるさくわめき散らされるのはひきこもり税だ。納めた税金の額がそのまま親孝行になる。私は普通の人が一生の間にする量の親孝行をもうやりきってしまった気がする。孝行したい時に親はなしと言うが…、ひきこもりの私には無縁の言葉ですな。

 

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