ひきこもりグレーゾーン

 ひきこもり男子は、「働ける」と「働けない」とにはっきりと、分かれているわけではない。働けるを黒、働けないと白とするなら、ひきこもり男子のほとんどはグレーなのです。働ける人とまったく働けない人との間に、壮大なグレーゾーンの中に存在しているのです。これを考慮せず、一律同様に就労訓練させるから、一部の成功例を除いて、ほとんどが挫折して、ひきこもりノイローゼになってしまう。

 働く力もさまざまです。1日に1時間しか働けない人から8時間フルに働ける人と、それぞれのタイプがあります。当然、社会復帰や社会参加のやり方も、人それぞれで、変わってくるはずです。更に言えば、1週間に5日間勤務できる人と、週1日勤務で精一杯の人とがいる、当然社会参加のやりかたは全然違ってくるでしょ。

 労働タイムが1時間〜8時間、労働日数が1日〜5日、これらの多様な組み合わせ、これだけでも実に多くのパターンがある。本人の能力にばらつきに合わせて、多様な働きかた、多様な勤務体制を作らない限り、就労支援なんていくらやっても、継続的に働けるようにはならんでしょう。

 さらに不況・災害・原発事故で、働きたい人に比べて求人が少ない。だから訓練よりも先に、就職先を確保しなければいけない。そして、その職場で働けるよう、仕事先にあったオーダーメイドの訓練をするべきだ。極端な例えを言えば、就職先が自衛隊の人とと、コンビニで働く人とが、おなじ就労訓練をしていていいわけがない。自分が採用される仕事にあわせてものでなければ、訓練にならない。

 就労訓練と称して、たこ焼きやお好み焼きを作っていても、それは就労訓練ではない、料理作りですよ。何年やっても料理作りの訓練のまま。就労未経験者でままで、履歴書は真っ白のままです。

 景気がよく、労働者が足りない時にだけ、就労訓練は有効だった。でもそんな十以上前の成功例を繰り返しているから、成果が出ない。就労支援で脱ひきこもりできた、そんな思い出にいつまでも支援者がしがみついている、そのことが若者支援塾などに代表される、現在のひきこもり支援失敗の原因であろう。過去の成功というのが、現在の失敗を生むのですな。

コメント

  1. 午前中に起きているだけでも立派なのに働いているとはすごいですよ。
    昔はアルバイト求人誌を本屋で買っていた、
    求人誌が売れて儲かるほど、仕事の募集があったのです。
    長田百合子と一緒になって引きこもり青年を殴っているのが
    NHKのディレクターなのだから救いようがない。
    勝山商事でもアルバイトを募集しましょうかのう。
    営業部長しかない、会社ですが。

  2. 勝山先生、ここはひとつ勝山商事の求人を出していただけませぬかな?

  3. こういう連中が跋扈する原因を作ったのが、他ならぬマスゴミですよ。
    特にNHKは酷い。こちら側の立場になって報道したつもりでしょうが、問題の本質を明らかに見誤っていますね。
    KHJの奥山や育て上げの工藤親子、横浜のK2、その他根性論で就労に繋げてきた業者を「優良団体」として紹介してきたのですから、重罪と言えます。
    その実、ただ働きが横行していたり、元入所者と裁判沙汰になっていたり、ろくすっぽ働いたことも無い“本物のニート”が就労訓練していたり(無論、工藤のせがれ)、海外で要支援者をリンチで死なせたりと、どれもブラックばかり。
    「NHKの番組で見たから」とこれらを鵜呑みにし、引きこもりの人たちを再起不能にしてきた家庭がどれだけあることやら…。

  4. 全く名人が仰られる通りです。
    私も今年、数カ月だけ本格的な社員のような働きをしましたが、特殊な事情で出来た組織でもあり、続きませんでしたね。
    現在はリハビリ的に午前中だけ仕事をしています。午後は市の計らいで資格勉強をネット上無料で受講させてもらってますが、見通しはいかほどでしょうかね。。。
    それはさておき、グレーゾーンの働きの中でもやりたい/やれるだろうか/やりたくないなぁのひきこもり男子ひとりの中での揺れはありそうです。
    ですから「続かないかもしれませんよ」という保留条件がOK、の採用枠も現実としてあるべき、と理解されたいものです。
    ですから、名人が本で書かれていた半人前を目指す。否、それよりもまず、現実的には四分の一人前公務員を国も本気で考えるべき時だと思います。まぁ、中間的労働とかいいますけれど、悪くはないがお金にはならず、ボランティアですね。意味を感じればそれでも良いとは思いますが。生活がねぇ。
    10年前の就労支援時代って知らないのですけれど、よっぽどな時代だったのでしょうね。繊細な人たちを幻想に巻き込んでは罪よね。

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