怖ろしい顔をした老婆がニラみをきかせていた

 顔がとがり、目がつり上がった老婆が、台所で車椅子にすわり、私にニラみをきかせていた。誰だか分からなかったが、少し間をおいて、あっ、ママンだと気がついた。

 毎日ダディー相手におたけびをあげている、要介護5の寝たきり老婆ママン。もう全身の筋肉はおとろえて、口を思いどうりに動かすこともできず、流動食しかのどを通らない。ダディーが毎回食べるものをミキサーでジュース状にして与えているのです。

 私はそんな最近のママンを直視するのに忍びなく、同じ家に住みながら、目をそむけて暮らしていました。そして今日、ひさしぶりにママンを見た、別人のようになっていた、やせて頬の肉が落ちて表情は精悍になり、眼光の鋭さは増し、すごみがでている。人殺し“みたいな”顔じゃない、人殺しの顔になっとるじゃないか。ただただ驚き、たじろぐばかりでございます。


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